
インタビュー
「愛犬と一緒に楽しむファッション お揃いウェアで叶える特別な時間」
近年、都内や観光地を中心に、愛犬と一緒に過ごせる場所が増え、犬と過ごすライフスタイルが変わりつつあります。愛犬を”家族”と考え、一緒により充実した時間を過ごしたいと願う飼い主も増えているのを感じます。しかし、愛犬と心から楽しめる場所はまだまだ発展途上です。
これからの“人と犬が共に生きる未来”を形にするために、様々な視点や想いを持つ方々にインタビューし、愛犬家のための新しいライフスタイルを発信していきます。
今回お話しを伺ったのは、愛犬との楽しい時間を提供する施設「HOT DOG TOWN Ariake」(HOT DOG STUDIO合同会社)の代表 伊藤敬介さん。
”HOT DOG TOWN”は、その名の通り、お買い物ができるストア、人工芝のドッグランにカフェやサロンまで揃っていて、まるで犬の小さな街のよう。愛犬と分断されずに、一緒に楽しめる場所として、人気を集めています。
そんな愛犬家注目の施設を手がける伊藤さんに、犬と施設に対する思い、今後の展望まで教えていただきました。話題のドッグフレンドリー施設の裏側をぜひご一読ください。
目次
まずは、伊藤さん自身と会社の経歴について教えてください。
広告代理店、外資系スポーツ配信サービス、ハードウェアメーカーに勤め、マーケティング部長やブランドマネージャーとして、10年の経験を積みました。それから起業し、会社は今年で3年目を迎えます。
違う業種からの転身とのこと、起業は何か決め手があったのですか?
事業内容は明確ではなかったものの、自分が熱中できる分野でいつかは起業したいという思いがありました。そんな中、コロナ禍になり仕事が在宅に切り替わったタイミングで、フレンチブルドッグのおもちを迎えることに。これが犬に関する事業を始めるきっかけになりました。
おもちちゃんの存在が大きいのですね。では、伊藤さんの犬との暮らしについてさらに掘り下げていきたいのですが、おもちちゃんが初めて迎えたわんちゃんですか?
いえ、実家で飼っていたビーグルの「ベル」が最初です。その子を亡くした時の喪失感が思いのほか大きくて、実は、新しい犬を迎える気持ちになるまでは随分と時間がかかりました。「大切な先代犬への気持ちが薄れてしまわないか」、「不安が残る中で、新しい生命を迎えていいのだろうか?」と。
色々と思いを巡らせ、先代犬と過ごした時間に悔いはなかったと気持ちの整理ができて、ようやく迎えることができたのが、おもちです。先代犬との別れから約5年かかりました。
伊藤さんの先代犬への気持ち、すごくわかります。一度、お別れを経験すると同じような気持ちになっている方も多いと思います。久しぶりの犬との生活で気づきはありましたか?
まずは、子供の頃にした経験は、犬との生活の中のごく一部だったのだと改めて痛感しましたね。散歩は行くけれど、日々の食事やケア、通院などの健康管理…、大変な部分は全て両親がやってくれていたんだなと。
おもちを迎えた時に、「今日からこの子の全てを自分が決めることになるんだ」、と大きな責任と不安も覚えました。
そんなおもちとの生活は、お迎えしてウキウキ気分も束の間、連れて帰る車の中ですぐに大きなうんちをして大掃除。帰宅すると家具をガリガリ齧られて、下痢や嘔吐をすれば直ちに夜間救急へ。てんやわんやになりながらスタートしたのを覚えています笑
同時に日々の一瞬一瞬が、おもちがいるだけで楽しい時間へ変化していく実感もありました。お出かけはおもち中心が当たり前で、すぐに着られなくなる洋服もクローゼットいっぱいになるまで買いました。
おもちちゃんと深い関わりを持つことで喜びも増えていったのですね。そんな伊藤さんが立ち上げた「HOT DOG STUDIO」はどのような思いからできたのでしょうか?
おもちと生活する中で感じた違和感を昇華できたらと「HOT DOG STUDIO」を立ち上げました。
これだけデジタル化が進んでいても、犬を取り巻く環境はいまだに多くはアナログで、古い慣習が残っています。インテリアやアパレルなども優れた機能性や洗練されたファッション性を感じるものが少なく、なんだか取り残されているような印象を受けました。
具体的にはどのような場面で感じましたか?
例えば、狂犬病の予防接種証明は紙で発行され、それを皆んな持ち歩いていたり、最近マイクロチップが導入されましたが、登録済みの証明も鑑札だったりと、出先で必要になる証明書等を筆頭にもっとデジタル化されたらいいのに…と、思うことがしばしば。犬具やグッズに関しては、洗練されたものが国内では手に入りづらく、インポートで買い付けしていました。
確かに、まだまだ犬を取り巻く環境は伸び代アリですよね。そんな想いを持つ伊藤さんがつくった「HOT DOG STUDIO」の誕生と変遷を教えてください。
創設は、おもちを迎えて2年が経過した2022年夏。犬との生活をもっと楽しくをモットーに、ブランド名は「HOT=(楽しい)」「DOG=(犬)」「STUDIO=(創り出す)」の3つを掛け合わせて「HOT DOG STUDIO」に。
「HOT DOG」は「わくわく」という意味も持つので、これも自分が作りたい会社にぴったりだと、洒落も含んで(笑)名付けました。
まず、最初に取り掛かったのは首輪とリードの製造です。犬の生活で必須の散歩の時間がもっと楽しく感じるモノを作りたかったというのと、犬具は飼い主と犬をつなぐ”絆の象徴”のようにも思えて、ここからブランドをスタートしたいと考えました。
”楽しい”や”ワクワク”が「HOT DOG STUDIO」のキーワードなのですね。私も愛犬家の一人として、惹きつけられます。
犬と愛犬家を幸せにする方法は色々あると思いますが、その中で、自分がしたいアプローチは犬との生活に「楽しさ」をもたらすモノ、コトの提供です。
「楽しさ」がどう犬の幸せに繋がるのか、詳しく聞かせてください。
犬との生活は、可愛い、楽しいといったポジティブな感情だけじゃなく、面倒だったり、コントロールできないことに対するフラストレーションだったりと、ネガティブな感情の両方あるというのが”リアル”だと思います。
そのバランスがネガティブに傾くと、犬を邪魔に感じてしまう、可愛がることができなくなるといった、避けたい状況が生まれるのかなと。
ならば、楽しいと思うポジティブな感情を少しでも膨らませたいと考えました。
一緒にいる時間が楽しくなれば、犬が飼い主と過ごせる時間が増える。お気に入りのアイテムを身につけてお出かけすることが楽しくなると、犬が外に出られる機会が増える。ひいては可愛がってもらえる犬が増えることにつながるのでは、と考えました。
社会化に必要なトレーニングだって、飼い主が楽しいと思えないと、継続はなかなか難しいですよね。「HOT DOG STUDIO」の事業によって「犬と暮らすことって楽しいよね!」と感じられる機会を増やして、大切にしてもらえる犬が増えると良いなと願っています。
伊藤さんが楽しさにこだわる理由が良くわかりました。店舗経営が3店舗目ということで、お店を始めたきっかけや思いについても教えてください。
自分はオンラインでの事業経験が豊富だったため、ECサイトでの物販事業の方が想像しやすかったのですが、愛着を持ってもらえるブランドをつくる上では、実際に犬と愛犬家の皆さんと会話できる機会が多い方が良いなと。
さらに、おもちとの暮らしの中で、実物を見ながら選ぶ買い物に”楽しさ”を感じていたので、”楽しい”をつくるのであれば、オンラインよりもオフラインの方が有効であると、店を構えることに決めました。
第一号は、20平米程度の小さなお店、学芸大学店です。床貼りも壁塗装も全てDIYで、自作の棚いっぱいにオリジナルのリードと首輪、こだわりのセレクト商品を並べました。
インポートの取り扱いが増えたタイミングで、二号店となる表参道店をオープン。
モノ自体はECでも売れるけれど、お客様の表情や気持ちがわからない状況ではなく、お客様と身近に接し、寄り添うことができるブランドを目指しました。
実際に店舗を持たれてみてどうでしたか?
最初の2つは小さなお店で、ほとんどが常連さんだったので、お散歩がてら毎日立ち寄ってくれたり、悩み事や嬉しかったことを話に来てくれたり、お客様をとても身近に感じることができました。
常連のわんちゃんたちがお店のシャッターの前でOPENを待っていたり、尻尾をブンブン振りながらお店に駆け込んできたりと、犬と飼い主さんにとって、楽しい場所を作れた気がして、喜びを感じました。
また、届ける先が鮮明に見えたことで、モノづくりや商品セレクトに対する意識が研ぎ澄まされていきました。
ふらっと遊びにいきたくなる直営店なんてとても素敵ですね。それこそ、愛犬と出かける場所の選択肢が増えることで、普段のお散歩が楽しくなりますよね。
そうですね。モノを買うだけのお店であれば、利便性や品数の多さが評価されるポイントになるかと思うのですが「HOT DOG STUDIO」は違っていて、お客様から「楽しかったです!」という声をいただくことがとても多いんです。
ちょっとおやつを買うだけ、壊れたおもちゃの買い替えだとしても、これが「HOT DOG STUDIO」に行きたいと思ってもらえる理由だと考えています。
支えてくれている販売スタッフの採用にも厳しい基準を設けています。「犬が大好き」はもちろんのこと、「お洒落の感度が高い」、「学ぶ意欲が高い」などを満たす方のみ採用することで、通いたくなるお店を作れているのでは、と思っています。
HOT DOG TOWN Ariakeは、学大店と表参道店からかなりのスケールアップだと思いますが、移転の決め手はなんだったのですか?
物販だけで、犬との暮らしの”楽しさ”を届けることに限界を感じたからです。
買い物がない日でも、もっと毎日気軽に遊びにこれる場所をつくりたいと思うようになりました。「犬と一緒にいつでも来れる、いつでも来ていい」そんな場所を想像した時に、今の「HOT DOG TOWN Ariake」を構想し始めました。
店内にカフェをつくったのも、お散歩がてらに立ち寄って一杯のコーヒーを飲んで帰るくらいにライトな使い方ができたらという思いからでした。
私も愛犬と「HOT DOG TOWN Ariake」に初めてお伺いした時に、まず感じたのが施設全体がおしゃれで開放的。何をするというわけでもなく、そこにいるだけで私も愛犬もリラックスできてわくわくする場所でした。
そう言っていただけて嬉しいです。規模感、内装、雰囲気、あらゆる点で犬のお店としての新鮮さを意識しました。中でも、「HOT DOG TOWN」を象徴する「HOT DOG FACTORY」は、天井に傾斜をかけ、照明や什器なども含めて、小さな工場に見えるよう細部の設計までこだわりました。
新しい取り組みをする際に、自分たちに必ず問いかける言葉があります。それは「犬と飼い主がわくわくできるのか」。これは学大店の頃から変わらない習慣で「HOT DOG TOWN」の運営においても大切にしている視点です。
例えば、FACTORYでつくる「うちの子ウェア」は、目の前でプリントするライブ感を重視。HOT DOG COFFEE(カフェ)で提供する愛犬用メニューは、自分たちが食べるようなモーニングセットをイメージして、パンとスープで構成するなど、わくわくできるポイントを常につくるようにしています。
ちなみに、ブランドカラーの黄色にも意味があって、黄色は犬の視覚でキャッチできることから、犬にとっても黄色のこの施設に来るだけでわくわくする、そう覚えてもらえるような仕掛けにしています。
実際に施設がオープンして約4ヶ月経ちますが、この短期間の中でも嬉しいなと感じる瞬間はありましたか?
色々ありますが、一番はスタッフの接客を褒めていただけた瞬間です。「お客様の愛犬は私たちの愛犬である」が「HOT DOG TOWN」の社訓で、お客様と「一緒に楽しむ、一緒に悩む」姿勢を、スタッフ全員に浸透させています。
SNSのストーリーズなどで「かわいがってもらって愛犬が嬉しそうでした」、「優しく接してもらいました」、「楽しかったのでまた来ます」といった言葉を目にする度に、自分が目指していた、犬と飼い主さんにとって居心地の良い場所になっていることを実感し、とても嬉しく思います。
私も愛犬の服を悩んでいた時にサイズや色だけではなく、愛犬の性格まで聞いた上での提案をもらい、スタッフの方とお話していることが楽しかったです。
スタッフのメンバーに本当に恵まれたなと思っています。「楽しさ」をキーにして立ち上げたからこそ、場所やモノのクオリティだけでは足りない。一緒に施設をつくり上げてくれているスタッフが届ける「楽しさ」なしでは、今の評価は得られなかったと思います。感謝の気持ちでいっぱいですし、来てくださるみなさんには愛犬家スタッフたちとの交流も一つの楽しみとして、HOT DOG TOWNで過ごしていただきたいです。
ここまでのお話を聞いて「HOT DOG TOWN Ariake」に伊藤さんが込める熱い想いが伝わってきました。最後に、施設を運営しながら目指す未来があれば教えてください。
現時点、まだまだ課題はありますが、施設開業前から構想していた「犬と愛犬家にとって心地が良く楽しい場所をつくる」という理想に少しずつ近づけているかなと感じています。
その中で「HOT DOG TOWN」のみならず、有明アーバンスポーツパーク全体が犬同伴可能な施設になったことが大きな一歩だったと思います。
この恵まれた環境の中で、足を運んでくれたわんちゃん、愛犬家の方々にとって、わくわくするモノ・コトを、周囲を巻き込みつつ、今後もどんどん仕掛けていきたいと思います。
そして、「犬と暮らすことって最高に楽しい!」と、愛犬家の皆さんの日々が少しでも”楽しい気持ち”で溢れるようにできたらいいなと思います。
人と犬の両方が過ごしやすい空間は、まだまだ多くないと思うので、今後増えていったらいいなと思いますね。
おっしゃる通りですね。飼い主様のマナーやモラルがあることが前提にはなりますが、犬を温かく迎えてもらえる場所が増えていくと、犬との暮らしがますます豊かになっていくと思います。
「HOT DOG TOWN Ariake」はパピーやシニアの子にとっても、お出かけ先としてハードルを下げた設計を心掛けているので、ぜひ、お散歩がてら気軽に遊びにきていただきたいです。
【店舗情報】
HOT DOG TOWN Ariake
〒135-0063 東京都江東区有明1丁目13-7 livedoor URBAN SPORTS PARK
【アクセス】
電車でお越しの場合
・東京臨海新交通臨海線ゆりかもめ「有明テニスの森駅」徒歩約1分
・東京臨海高速鉄道りんかい線「国際展示場駅」徒歩8分
バスでお越しの場合
・都営バス 東16、都05「東京駅」から乗車、「有明テニスの森」下車 徒歩約3分
・東京BRT 幹線ルート、B01「新橋駅」から乗車、B04「有明テニスの森」下車 徒歩約4分
お車でお越しの場合
・台場IC 出口から有明/東京ビッグサイト方面へ約4分
【企業情報】
会社名
HOT DOG STUDIO合同会社
本社
東京都世田谷区深沢
代表者
CEO 伊藤敬介
設立
2022年8月
公式サイト
HOT DOG STUDIO 公式Instagram
https://www.instagram.com/hot_dog_studio/do/
HOT DOG TOWN Ariake 公式Instagram